PM Tips · 2026-05-15
プロジェクト憲章の作り方:開始前に決める10項目
プロジェクト開始前に全員が合意すべき10項目とその書き方を、ChatGPT活用プロンプト付きで解説。
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読了時間:約7分
プロジェクトの多くは、始める前の合意が甘いまま動き出してしまいます。「目的は何となくわかっている」「スコープはふんわり決まっている」——この状態でスタートすると、必ず後半に「そういう意味ではなかった」というトラブルが発生します。プロジェクト憲章(Project Charter)は、プロジェクトを正式にスタートさせるための合意文書です。この記事では、PM初心者でも作れる10項目の書き方を解説します。
この記事の結論 プロジェクト憲章は「目的・スコープ・期間・予算・体制・制約・リスク・成功基準」など10項目を関係者全員で合意するための文書。特に「スコープ外を明記する」と「成功基準を数値で書く」の2点が最重要。ChatGPTに概要を渡せば叩き台が10分で完成する。
プロジェクト憲章が必要な理由
プロジェクト憲章を作ることで、3つの効果が得られます。
| 効果 | 具体的な影響 |
|---|---|
| 認識のずれを防ぐ | 「こういうつもりだった」トラブルが減る |
| スコープを守る | 「これもやってほしい」という追加要求に対して根拠を持って対応できる |
| 承認の証跡を残す | 後から「そんなこと決めていない」と言われても、サインがある文書を示せる |
逆に言えば、プロジェクト憲章なしでプロジェクトを進めると、上記の問題がすべて「なんとなく」で処理されることになります。
プロジェクトキックオフの進め方と合わせて読むと、憲章の内容をキックオフで合意する流れが理解できます。
10の必須項目と書き方
1. プロジェクト名
例:社内勤怠管理システム リニューアルプロジェクト(2026年度)
長すぎず、プロジェクトの内容が一目でわかる名前をつけます。社内で複数のプロジェクトが走っている場合は、混同しないよう「年度」や「フェーズ」を付けると明確になります。
2. プロジェクトの目的・背景
なぜこのプロジェクトをやるのかを1〜3文で記載します。
例:
現行の勤怠管理システムは導入から8年が経過し、リモートワーク環境への対応が困難になっている。
また、月次集計作業に毎月20時間以上の手作業が発生しており、業務効率化が急務となっている。
本プロジェクトでは、クラウド型の勤怠管理ツールへの移行を通じて、これらの課題を解決する。
3. 成功基準(数値で書く)
プロジェクトが「成功した」と判断するための基準を、誰でも同じ解釈ができる形で書きます。
【NG例(曖昧)】
・業務効率が上がること
・メンバーが使いやすいと感じること
【OK例(数値で)】
・月次集計作業を20時間/月 → 3時間/月以下に削減
・システム稼働率99%以上(リリース後3ヶ月間)
・全社員(100名)のシステム移行完了(〇月〇日まで)
4. スコープ(対象範囲)
何をやるかを明記します。
【スコープ内】
・クラウド勤怠管理ツールの選定・導入
・現行データの移行(過去2年分)
・全社員へのシステム切り替え
・管理者向け・一般社員向けの操作マニュアル作成
【スコープ外】(※ここが特に重要)
・給与計算システムとの連携(次フェーズで検討)
・勤怠以外のHR機能の導入
・カスタム開発(標準機能の範囲で運用)
「スコープ外」を明記することが最重要です。スコープ外を書かないと、「これもやってほしい」という追加要求が際限なく来ます。
5. 期間・マイルストーン
プロジェクト期間:2026年6月1日 〜 2026年11月30日(6ヶ月)
主要マイルストーン:
・2026年7月31日:ツール選定・契約完了
・2026年9月30日:テスト環境での検証完了
・2026年10月31日:本番環境への切り替え
・2026年11月30日:全社員移行・運用安定化
6. 予算(概算)
予算上限:〇〇万円(ライセンス費・導入支援費・研修費を含む)
予算を明記することで、追加要求が来たときに「予算の範囲内でできるか」という判断基準になります。
7. プロジェクト体制
プロジェクトスポンサー:〇〇部長(最終意思決定)
PM:〇〇(進行管理・ステークホルダー調整)
担当者(業務):〇〇(業務要件・マニュアル作成)
担当者(IT):〇〇(技術検証・システム設定)
外部協力:ツールベンダー〔社名〕担当〇〇
8. ステークホルダー
・〇〇部長(スポンサー・最終承認者)
・人事部 全員(主要な利用者・意見収集対象)
・情報システム部 〇〇(セキュリティ確認・インフラ連携)
・外部ベンダー 〇〇社(ツール提供・導入支援)
9. 制約・前提条件
【制約】
・予算:〇〇万円以内
・期限:2026年11月末まで(年度末のタイミングに合わせる)
・ツール選定:クラウド型SaaSに限定(オンプレ不可)
【前提条件】
・情報システム部が導入ツールのセキュリティ審査を行う
・ベンダーからのサポート体制が確保されている
10. リスク(想定される懸念事項)
・リスク1:データ移行時のエラー(発生確率:中・影響:高)
→ 対策:テスト環境での移行リハーサルを2回実施
・リスク2:社員のシステム習熟に時間がかかる(発生確率:高・影響:中)
→ 対策:導入前研修の実施・FAQページの作成
・リスク3:ベンダーのサポート品質が想定以下(発生確率:低・影響:高)
→ 対策:契約前にサポート条件を文書で確認
承認者・ステークホルダーの明記方法
プロジェクト憲章は「作って終わり」ではなく、関係者全員のサインをもらって初めて機能します。
承認の形式:
【承認欄】
プロジェクトスポンサー:〔氏名〕 署名:_______ 日付:
PM:〔氏名〕 署名:_______ 日付:
顧客代表:〔氏名〕 署名:_______ 日付:
電子承認(メールでの合意確認)でも法的・業務的に問題ない場合がほとんどです。「〇月〇日のミーティングで全員合意済み」という記録を残すだけでも効果があります。
ChatGPTで叩き台を生成するプロンプト例
プロジェクトの概要をChatGPTに渡すと、憲章の叩き台が10分で完成します。
プロンプト例
以下のプロジェクト概要から、プロジェクト憲章の叩き台を作成してください。
【含める項目】
1. プロジェクト名
2. 目的・背景
3. 成功基準(数値で)
4. スコープ内・スコープ外
5. 期間・主要マイルストーン
6. 予算(概算)
7. プロジェクト体制
8. ステークホルダー
9. 制約・前提条件
10. 想定リスク(3件程度)
【プロジェクト概要】
・社内の勤怠管理をExcelから、クラウドSaaSツールに移行する
・期間6ヶ月・予算200万円・チーム:PM1名・担当者2名・情シス部協力
・全社員100名が対象、年度末(11月末)までの切り替えが必要
・給与計算システムとの連携は今回のスコープ外
出力された叩き台に、担当者名・具体的な日付・社内固有の事情を加えれば、8割方完成します。
まとめ
- プロジェクト憲章は「合意の記録」:作るだけでなく、関係者全員のサインを取ることで初めて機能する
- 10項目を網羅する:目的・成功基準・スコープ(内外)・期間・予算・体制・ステークホルダー・制約・リスク
- 「スコープ外」の明記が最重要:書かないと際限なく追加要求が来る根拠を作ってしまう
- 成功基準は数値で書く:「効率化」ではなく「〇〇時間を〇〇時間に削減」という形にする
- ChatGPTで叩き台を10分で作る:プロジェクト概要を渡して叩き台を生成し、PMが実態に合わせて精査する
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