PM Navi

AI × PM · 2026-05-16

リスク管理をAIで強化する:リスク洗い出し・評価の自動化

ChatGPTを使ったリスク洗い出し・影響度評価・リスク登録簿の更新フローと、人間が必ず判断すべきポイントを解説。

PR

おすすめ学習

Udemyでプロジェクト管理を体系的に学ぶ

セール時は最大90%オフ。まずは気になるコースをチェック。

コースを見る →

読了時間:約7分

リスク管理は「やらなければいけないとわかっているが、手が止まりがち」な業務のひとつです。「どんなリスクがあるか思いつかない」「洗い出したは良いが評価が主観的になる」——こうした悩みをAIは大幅に解消してくれます。この記事では、ChatGPTを使ったリスク管理の強化方法を、プロンプト付きで解説します。

この記事の結論 AIはリスクの洗い出し・評価の叩き台作りが得意。プロジェクト概要とチーム構成を渡すだけで10〜15件のリスク候補が出る。ただし「発生確率・影響度の最終判断」「自社固有のリスク追加」「対応の優先順位付け」は人間がやる。AIを使うことで、ゼロから考えるより2倍以上の精度でリスクを拾える。

AIにリスクを洗い出させるプロンプト

基本プロンプト

以下のプロジェクトで発生しうるリスクを洗い出してください。
以下の6つの観点から、それぞれ2〜3件ずつ挙げてください。

① スコープリスク(要件変更・スコープ拡大)
② スケジュールリスク(遅延・依存関係の問題)
③ コストリスク(予算超過・見積もりミス)
④ 品質リスク(バグ・仕様の不明確さ)
⑤ 人員リスク(離脱・スキル不足・外部依存)
⑥ 外部リスク(ベンダー・規制・市場変化)

各リスクには「リスクの内容・発生シナリオ・潜在的な影響」を記載してください。

【プロジェクト概要】
〔プロジェクトの内容を2〜3文で〕

【チーム構成】
〔PM・エンジニア・デザイナーなど〕

【特記事項】
〔初めての取り組み・外部ベンダー依存・タイトなスケジュールなど〕

Webリニューアル案件の出力例

【AIの出力例(Webリニューアル案件)】

① スコープリスク
・R1:要件定義完了後に顧客からデザイン方針の変更要求が発生するリスク
 シナリオ:デザインカンプ承認後に「やっぱり別の方向性で」と指示される
 影響:デザイン工程の手戻りで最大2週間の遅延・追加費用

・R2:コンテンツ移行時に移行対象が当初より大幅に増えるリスク
 シナリオ:旧サイトのページ数の棚卸しをしていなかった
 影響:移行作業の工数が2〜3倍になりリリースが遅れる

② スケジュールリスク
・R3:顧客側の確認レビューに想定以上の日数がかかるリスク
 シナリオ:複数部門の確認が必要なため承認に2週間以上かかる
 影響:設計〜開発の開始が後ろ倒しになり全体が連鎖遅延

・R4:フロントエンドエンジニアの稼働が他案件と重複するリスク
 シナリオ:同時期に別案件が炎上して稼働を割けなくなる
 影響:開発フェーズで1〜2週間の遅延

(以下省略)

影響度・発生確率の評価をAIに補助させる方法

リスクを洗い出した後、各リスクの「発生確率(高/中/低)」と「影響度(高/中/低)」を評価します。この評価はPMの主観に依存しやすいですが、AIに評価の理由を問いかけることで客観的な視点を加えられます。

評価補助プロンプト

以下のリスクについて、以下の条件でリスク評価を行ってください。

【評価基準】
発生確率:
・高(50%以上):過去の類似プロジェクトで頻繁に発生している
・中(20〜50%):条件次第で発生しうる
・低(20%未満):稀な条件でのみ発生する

影響度:
・高:リリース日・予算・スコープに直接影響する
・中:対応策で軽減できるが、追加工数が発生する
・低:軽微な対処で解決できる

各リスクに評価(高/中/低)と評価の根拠を記載してください。

【リスクリスト】
〔洗い出したリスクを貼り付け〕

【プロジェクトの特徴(評価の参考情報)】
・初めて取り組むシステム/慣れている領域:〔記載〕
・外部依存の有無:〔記載〕
・過去の類似プロジェクトの課題:〔記載〕

リスクマトリクスの作成

評価が揃ったら、リスクマトリクス(影響度×発生確率の4象限)に整理させます。

以下のリスク評価結果を、リスクマトリクス形式に整理してください。
影響度(縦軸:高/中/低)×発生確率(横軸:高/中/低)の9マスで分類してください。
最優先で対応すべきリスクを3件ハイライトしてください。

〔リスク評価結果を貼り付け〕

リスク登録簿をChatGPTで更新するフロー

リスク登録簿は「作って終わり」にするのが最大の失敗パターンです。週次・月次の定例会議に合わせて定期更新することで機能します。

毎週の更新プロンプト

以下の状況を踏まえて、リスク登録簿の更新案を作成してください。

【現在のリスク登録簿】
〔リスク登録簿(表形式)を貼り付け〕

【今週の状況(変化した点)】
・発生したリスク:〔記載〕
・状況が変わったリスク:〔記載〕
・新たに発見したリスク:〔記載〕
・対応策を実施したリスク:〔記載〕

以下の作業をしてください:
1. 発生したリスクのステータスを「発生済み」に変更
2. 新規リスクを追加
3. 対応策を更新
4. 削除して良いリスク(リスクが消えたもの)を提案

リスク登録簿のテンプレート(AI生成用)

以下の形式でリスク登録簿を作成してください。

【列構成】
・リスクID(R-001形式)
・リスク分類(スコープ/スケジュール/コスト/品質/人員/外部)
・リスク内容(1〜2行)
・発生確率(高/中/低)
・影響度(高/中/低)
・リスクスコア(確率×影響:H×H=9、H×M=6、M×M=4、など)
・対応戦略(回避/軽減/転嫁/受容)
・具体的な対応策
・担当者
・対応期限
・ステータス(監視中/対応中/発生済み/クローズ)

【プロジェクト情報】
〔プロジェクト概要〕

【洗い出し済みのリスク】
〔リスクリストを貼り付け〕

人間が必ず判断すべきポイント

AIのリスク評価はあくまで「一般的な類似プロジェクトのパターン」をベースにした出力です。以下の4点は必ず人間が判断します。

①自社・自プロジェクト固有のリスク

AIは自社の組織文化・社内政治・過去のプロジェクトの失敗を知りません。「このプロジェクトのキーパーソンが来月育休に入る」「このベンダーは過去に2回納期を守れなかった」といった情報は人間が追加します。

②発生確率・影響度の最終判断

AIの評価は参考値であり、最終的な確率・影響度の判断は担当PMが行います。「このリスクはAIが『中』と評価したが、過去の経験から自分は『高』だと思う」という判断を優先してください。

③対応の優先順位付け

リスクスコアが高いものを優先するのが基本ですが、「このリスクは低スコアでも万一発生したら取り返しがつかない」「このリスクは発生確率が高くても対応コストが低い」など、スコアに現れない要素を加味した優先順位付けは人間がやります。

④ステークホルダーとの合意

「このリスクを許容するかどうか」の最終判断はPMだけでは決められないケースがあります。特に「受容(受け入れる)」戦略を選ぶ場合は、スポンサーや顧客に合意を取ることが必要です。


具体例:リスク洗い出しから登録簿完成までのフロー

【全体フロー(30分で完結)】

Step 1(5分):洗い出しプロンプトを投げる
→ AIがリスク候補10〜15件を出力

Step 2(10分):人間によるレビュー
→ 自社固有のリスクを追加(3〜5件)
→ AIが出したが実態と合わないリスクを削除・修正

Step 3(5分):評価補助プロンプトを投げる
→ AIが発生確率・影響度の評価と根拠を出力

Step 4(5分):最終評価の調整
→ 過去経験・現場感覚で発生確率・影響度を修正

Step 5(5分):登録簿フォーマットへの変換
→ AIがリスク登録簿の表形式に整理
→ 担当者・期限・対応策を人間が追記

完成:プロジェクト開始時のリスク登録簿(15〜20件)

このフローを使うと、ゼロから作るよりも2倍以上の精度でリスクを拾いながら、作業時間を半分以下に削減できます。


まとめ

  • AIにリスクを洗い出させる6つの観点:スコープ・スケジュール・コスト・品質・人員・外部リスク
  • 評価補助プロンプトで主観を減らす:発生確率・影響度の評価基準をAIに渡して根拠付きで評価させる
  • 週次更新フローをAIで効率化:変化した状況を渡してリスク登録簿の更新案を生成させる
  • 4つのポイントは人間が判断:自社固有リスクの追加・最終評価・優先順位・ステークホルダー合意
  • 30分フロー:洗い出し→人間レビュー→評価→調整→フォーマット化の5ステップで完成

リスク管理の基本(リスク登録簿の作り方)はこちらも合わせてご覧ください。

リスク管理ChatGPTAI活用リスク登録簿プロンプト
PR

転職・キャリア

PM求人を探す

プロジェクトマネージャーへの転職を考えている方はこちら。

求人を見る →

関連記事